TAVI

大動脈弁狭窄症に対する最新治療 TAVI ~経カテーテル大動脈弁留置術~

本邦では、2013年10月に経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が保険償還され、当院でも2015年3月に施設認定を受け、本格的に治療が開始されました。

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)とは?

「TAVI」とは Transcatheter Aortic Valve Implantation の略語で、「経カテーテル大動脈弁留置術」と訳されます。TAVI は、胸を開かずに、心臓が動いている状態で、カテーテルを用いて人工弁を患者様の心臓に装着する治療法です。心臓の弁が上手く機能しなくなる「大動脈弁狭窄症」の患者様で、高齢などの理由で外科的な手術が困難な方に対する新しい治療の選択肢となります。

大動脈弁狭窄症とは?

さまざまな理由により大動脈弁(図1)が硬化し、十分に開かなくなる病気です。大動脈弁は、心臓から血液を送る入り口にあたるため、弁の硬化により狭くなったところを無理に血液が流れることで心臓に負担が掛り、狭心症のように胸が痛くなったり、失神したり、心不全になるなどの症状を呈するようになります。

狭窄とは?

弁が開いているときの状態


正常

狭窄

大動脈弁に動脈硬化と同じような変化が起きて硬くなることで、弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられている状態です。

TAVI 治療方法

カテーテル(細い管)を用いて足の付け根の動脈(経大腿アプローチ)または心尖部(経心尖アプローチ、左胸の下)から挿入し、十分に開かなくなった大動脈弁の上に留置(置いてくること)されます。外科手術は病気の大動脈弁を取り除いて、新しいものと置き換える治療法に対して、カテーテル治療の場合は、古いものを下敷きにして、新しい弁を留置するという点で違いがあります。

TAVI に使用される人工弁 (SAPIEN XT)
足の血管からの治療(経大腿アプローチ)
胸壁からの治療(経心尖アプローチ)

対象となる患者様は?

症状を伴う重症の大動脈弁狭窄症があり、下記に該当する外科的手術が困難な患者様です。

  • ご高齢(概ね80歳以上)の患者様
  • 過去にバイパス手術などの開胸手術をしたことがある方
  • 胸部の放射線治療を受けたことがある方
  • 肺気腫などの呼吸器疾患のある方
  • 肝硬変などの肝疾患合併のある方
  • 悪性疾患合併のある方(1年以上の予後が期待できること)

上記条件に該当しても、現時点では TAVI 治療の適用にならない場合もございます。